NPb処理とは?重要性やプロセスを徹底解説
この記事では次の内容をまとめています。
・NPb処理とは?
・NPb処理の重要性
・NPb処理のプロセス
NPb処理について詳しく知りたい方や、鉛の規制への対応に悩んでいる方が知っておくべきことを全てまとめました。
NPb処理とは?
水栓や水道メーターといった給水器具からの鉛の浸出を低減させるための技術です。
簡単に言うと、専用の液体に器具を浸して表面の鉛を溶解・除去します。
水道用の器具によく使われる銅合金には快削性や鋳造性を増すために鉛が添加されるケースが多いです。
しかし、鉛は人体や環境に対して悪影響を及ぼすことが懸念されており、水質基準などの規制がかかっています。
そのため、NPb処理のニーズが高まっています。
NPb処理の重要性
この章ではNPb処理の重要性をご紹介します。
規制に対応できる
先ほども少し触れましたが、NPb処理を施すことで鉛に関する規制に対応することができます。
規制に対応してない製品は当然、市場に供給することはできません。
また、既に使用されている器具が規制の数値を超えていることが判明した場合、罰則を受けたり、世間からの信頼が下がるリスクもあります。
海外の規制にも対応できる
鉛に関する規制があるのは日本だけではありません。
海外でも鉛に対する規制が厳しくなっています。
例えば、RoHS指令という、EUで定められた特定の有害物質の使用制限に関する指令でも、鉛は規制の対象となっています。
日本で製造されたものでも、海外に輸出する場合はその地の法律や規制を守らなくてはいけないため、現地の規制を知り、基準を満たすために対応する必要があります。
人々の健康を守る
鉛は人体に悪影響を及ぼすと言われており、多量に摂取すると、神経系の障害や頭痛などあらゆる症状が出ます。
鉛に関する規制では人体への影響を出さないように数値が決められており、企業は絶対にこの数字を守らなくてはいけません。
環境対策になる
鉛は人体だけでなく、環境にも影響を与えます。
例えば、鉛が含まれる製品が埋め立てられると、土壌が汚染されたり、鉛が地下水に入ったりします。
さらに、こうした場所で作られた食べ物を摂取すると、人体にも影響が出ます。
NPb処理を行うことは環境を守ることにも繋がります。
NPb処理のプロセス
この章ではNPb処理の流れをご紹介します。
特殊アルカリ性溶液に浸す
アルカリ性の溶液に浸し、製品の表面の鉛や鉛化合物を溶解・除去します。
NPb処理はあくまで製品の表面の鉛を取り除くためのもので、内側にある鉛については影響を与えません。
特殊安定化処理液に浸す
特殊アルカリ性溶液に浸した後でも少し鉛が残っているため、特殊安定化処理液に浸すことで、残りの鉛を取り除きます。
この2種類の液に浸けるだけで鉛の溶出量は大幅に減ります。
NPb処理は鉛が両性金属(酸と塩基の両方に反応する金属)であることを利用しています。
NPb処理を行う際の注意点3つ
この章ではNPb処理を行う際に知っておくべきことをご紹介します。
金属の特性が変わる
製品から鉛を取り除くことで、金属の特性が変わることが考えられます。
ちなみに鉛は次のような特徴があります。
・快削性を高め金属を加工しやすくする
・表面に酸化皮膜を作り、錆が内部まで侵食することを防ぐ
・融点が低い
鉛は人体や環境に悪影響を与えるリスクはありますが、このような特性を持つことから、古くから私達の身近なものに使われてきました。
例えば、化粧品、はんだ付け、塗料に使われた例があります。
処理に時間がかかる
水道用器具にNPb処理を施す場合、当然ですが、その分時間がかかります。
そのため、製品を作る際はNPb処理を行う時間も加味した上で製作を進めましょう。
コストがかかる
NPb処理を業者に委託する場合、コストがかかります。
ちなみに、NPb処理はトイレで有名なTOTOが鉛の浸出基準の規制強化を受けて開発した技術です。
TOTOは給水器具に関わる他のメーカーへ技術供与を行っているため、TOTO以外の会社においてもNPb処理を行うことができます。
NPb処理を依頼する業者を選ぶときのポイント6つ
この章ではNPb処理を依頼するときの業者選びのポイントをご紹介します。
実績
まず、NPb処理に関する実績を確認しましょう。
経験年数や受注数などが分かると安心です。
やはり経験があればあるほど技術品質の高さが期待できますし、顧客の事情によって必要な対応を見極める力もあるはずです。
また、長年続いている企業は納期や契約内容を守り、顧客と信頼関係を築いている可能性が高いです。
業者の実績は公式サイトなどから確認できます。
検査体制
NPb処理を依頼するなら検査体制も重視したいポイントです。
なぜなら、鉛の水質基準や浸出基準については数値で明確に基準が定められているからです。
例えNPb処理を行なったとしても、この数値をクリアしなければ依頼した意味がありません。
そこで、NPb処理後の検査体制がしっかりしている業者を選びましょう。
設備が充実しており、数字で製品の状態を確認する業者であれば安心です。
コストパフォーマンス
やはり金銭面も気になるポイントだと思います。
外注にかかるコストが高すぎると利益率が下がってしまいます。
また、コストがかかる分の値上げをすれば市場競争力が落ちることも危惧されます。
ここで注意したいのが値段の安さだけを重視しないことです。
最低限の品質は担保できて、且つ価格の面でも納得できる企業を探すことが大事です。
コストパフォーマンスに納得できる企業に出会えれば長いお付き合いとなり、信頼できるパートナーとなるでしょう。
納期
納期を守れるかどうかも重要なポイントです。
NPb処理は製品を作る際のプロセスの一部。
そのため、NPb処理が納期通りに終わらなければ、その後のスケジュールに影響を与えます。
また、万が一、納期に間に合わなかった場合、急いで他の業者に依頼することで予定になかった出費が発生するリスクもあります。
そこで、納期を守る業者を選びましょう。
サポートの充実度
顧客へのサポートも注目すべき点です。
例えば、
・疑問がある場合、丁寧に解説してくれる
・連絡のやり取りがサクサク進む
・依頼内容によって柔軟に対応する
このような業者であれば安心して取引できますし、満足度の高い仕事をしてもらえるはずです。
コストパフォーマンスを考える際はサポートの充実度も1つの指標とすることをおすすめします。
お客様の声
実際にサービスを利用した顧客からの感想があると、依頼する際のイメージができますし、業者が顧客と円滑な関係が築けていることも分かります。
お客様の声がホームページに記載されている場合はチェックしましょう。
鉛レス素材を使う方法も
鉛に対する目が厳しくなる中、注目されているのが鉛レス素材です。
これは鉛が添加されていないにも関わらず、鉛と似たような性質を持つ金属のことです。
具体的にはCAC900系統、ビスマス青銅鋳物と呼ばれるものです。
鉛レス素材を使うことで、鉛の規制をクリアすることができます。
比較的新しい金属ということもあり、鉛レス素材を求める際はCAC900系統に対応しているか、業者に事前に確認するのがおすすめです。
弊社でもCAC901、CAC902を扱っており、鉛レス素材に対応しています。
まとめ
NPb処理とは給水器具の表面から鉛を取り除くことを目的として用いられる技術です。
TOTOによって開発されたもので、TOTOが技術供与を行ったメーカーもNPb処理を行うことができます。
水栓や水道メーターなどを扱う会社はぜひ知っておきたい技術です。
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