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砂型鋳造と金型鋳造の違いを徹底比較

砂型鋳造と金型鋳造の違いを徹底比較

この記事では次の内容をまとめています。

・砂型鋳造とは

・金型鋳造とは

・砂型鋳造と金型鋳造の違い

 

砂型鋳造と金型鋳造の違いについて知りたい方が知っておくべきことを全てまとめました。

砂型鋳造とは

特徴

砂型鋳造はその名の通り、砂型を用いて鋳造を行うことです。

歴史が長い鋳造方法で、昔の人は鍋や鐘を砂型鋳造で作っていました。

砂型の中には

・生砂型

・自硬性鋳型

・ガス硬化性鋳型

・熱硬化性鋳型

といった細かい種類があります。

これらは型の材料や、砂の固め方に違いがあります。

砂型は基本的に鋳物砂、ベントナイト、水分を混ぜて製作します。

メリット

型の製作コストが安い

砂を使用するため、型の製作コストは安く済みます。

ちなみに、砂型は鋳造後に解体されますが、使用した砂は再生処理をし、再利用できるため、コスト面でも環境面でも優しいです。

砂は100%リサイクルされるわけでなく、再生処理後、鋳物砂としての使用ができない状態のものは省かれます。

複雑な形状に対応できる

砂型鋳造では複雑な形の製品の製作を得意としています。

複雑な中子を用いた製作も可能です。

中子とは空洞がある製品を鋳造する際に使われるものです。

型の中に設置し、そこに金属を流し込むことで中に空洞がある製品を作ることができます。

鈴の形を思い浮かべると分かりやすいと思います。

大型の製品に対応できる

大きな製品の鋳造も可能です。

他の鋳造方法では対応できなかったものも、砂型鋳造なら製作できる場合があります。

使用できる金属の種類が幅広い

砂型鋳造では使用する金属を幅広い種類から選べます。

一方で、金型鋳造の場合は、型に金属を用いている関係で、使える素材は限られます。

デメリット

製品の表面にざらつきが生じる

砂型鋳造では溶かした金属が砂と接するため、鋳肌は粗く仕上がります。

そのため、ツルツルで滑らかな表面にしたい場合には向いていません。

量産には向いていない

砂型鋳造の大きな特徴の1つが金属が固まった後、型に振動を与えて解体する点です。

つまり、砂型は一度しか使うことができません。

そのため、量産にはあまり向いていません。

もちろん、製作の度に型を作れば量産も可能ですが、製造効率が悪くなってしまいます。

金型鋳造とは

特徴

金型鋳造では金属でできた型を用いて鋳造を行います。

金型は砂型とは違い、繰り返し使用できます。

砂型鋳造も金型鋳造も同じ「鋳造」ではありますが、型の素材が異なることで様々な違いが生まれます。

メリット

製品の品質が高い

また、砂型鋳造と違って製品の表面が滑らかに仕上がるのも特徴です。

そのため、見た目を綺麗に仕上げたい場合は金型鋳造の方が向いています。

大量生産に向いている

金型は繰り返し使うことができます。

そのため、大量生産に向いています。

また、砂型鋳造のように鋳造後にバラす必要がないため、生産効率が高いです。

この特徴から、自動車部品や家電製品の部品など、同じ製品がいくつも必要とされる場合に使われます。

強度が高い

金型鋳造によって作られた製品には強度や耐圧性が高いという特徴があります。

機械的性質にも優れています。

そのため、自動車のブレーキ部分の部品や、NC旋盤用の高速回転シリンダーなど、強度や耐圧性が求められる製品を作る際に選ばれます。

デメリット

初期投資が高い

金型鋳造は型の製作コストが高いというデメリットがあります。

そのため、小ロットや試作品製作にはあまり向きません。

ただし、金型は繰り返し使えるため長期的に見ると経済的です。

ちなみに金型は砂型に比べて製作時間も長いです。

複雑な形状にはあまり向かない

金型鋳造は複雑な形状の製品はあまり得意ではありません。

ただし、中子を使えばある程度複雑な形状にも対応できます。

ちなみに金型鋳造は大型の製品にもあまり向いていません。

使用できる金属の種類が限られている

金型鋳造では融点の高い金属を使用する鋳造はできません。

なぜなら、流し込む金属の融点が高いと、金型を溶かしてしまい、寸法通りの製品を製作できない恐れがあるためです。

そのため、使用する素材によっては、金属鋳造を希望しても対応できない場合があります。

砂型鋳造と金型鋳造の違い8つ

この章では砂型鋳造と金型鋳造の違いを比較してご紹介します。

型の素材

まず何と言っても型の素材の違いがあります。

砂型鋳造では砂でできた型、金型鋳造では金属でできた型が基本的に使用されます。

型の素材が異なることで、これからご紹介するように様々な違いが生まれます。

型の寿命

砂型鋳造では鋳造が終わると型を崩します。

つまり、砂型の寿命は1回。

一方で、金型鋳造では型を繰り返し使うことができます。

金型の寿命は使用する素材や形状によっても変わりますが、数千回以上使用することも可能です。

型の製作コスト

型の製作コストは砂型の方が安いです。

具体的なコストは型に使用する素材や形状によって異なります。

得意な形状

砂型は複雑な形状が得意ですが、金型鋳造は砂型鋳造ほどは向いていません。

そのため、金型鋳造では難しい形のものも、砂型鋳造なら対応できる場合があります。

また、大型の製品も砂型の方が向いています。

向いているロット

砂型鋳造は

・型の製作にかかるコストが安い

・繰り返し使用できない

このような性質があるため、試作品や小ロットの依頼に向いています。

一方で、金型鋳造は初期コストこそ高いものの、型を繰り返し使えるため、大量生産に向いています。

寸法精度

寸法精度の高さは金型鋳造に軍配が上がります。

そのため、より精度の高さが求められる製品を作る場合は金型鋳造が向いています。

ただし、砂型鋳造では製品の質が低くなるというわけではなく、砂型鋳造も非常に多く使われており、機械部品に使われる例もあります。

表面の仕上がり

金型鋳造では製品の表面がツルツルして綺麗な仕上がりになります。

一方で、砂型鋳造では流し込んだ金属が砂に触れることからザラザラした質感になります。

求める質感や見た目によってどちらを使用するべきかは異なります。

用途

砂型鋳造では次のようなものが作られます。

・調理器具

・鐘

・一般機械部品

など

 

一方、金型鋳造では次のようなものが作られます。

・自動車部品

NC旋盤用の高速回転シリンダー

など

砂型鋳造と金型鋳造はどちらがいい?

これまでご紹介したように、砂型鋳造と金型鋳造はそれぞれ色々な面で違いがあり、メリット・デメリットも異なります。

どちらの方が良いかは鋳造に求める条件や製作するものによって異なります。

そこで、鋳造の依頼をお考えの場合は、まず鋳造に対応している業者に問い合わせをし、要望を伝え、その上でどんな方法が適しているか判断してもらうのがおすすめです。

業者はあらゆる鋳造を見てきたプロなので、あなたにとって最適な提案をしてくれますよ。

まとめ

砂型鋳造と金型鋳造は型の素材が違うことから、性質にも様々な違いがあります。

鋳造で失敗しないためには、製作の条件に適した鋳造方法を選ぶことが大事です。

最後にそれぞれの鋳造方法に適したケースをご紹介するのでぜひ参考にしてくださいね。

砂型鋳造

・試作品製作

・小ロット

・複雑な形状の製品

・ザラザラした表面に仕上げたい

・大型の製品

・融点の高い金属を使った鋳造

 

金型鋳造

・大量生産

・滑らかな表面に仕上げたい

・寸法精度の高さを求める

・強度や耐圧性の高さを求める

・機械的性質の高さを求める

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