サンドブラストのメディアの種類や選び方をご紹介
この記事では次の内容をまとめています。
・ブラスト加工のメディアの種類
・メディア選びで失敗しないコツ
サンドブラスト加工のメディア選びをする方が知っておくべきことを全てまとめました。
サンドブラストで使われるメディアとは
製品に直接吹き付けることで表面を研磨するものです。
メディアの他に研磨剤、研削材、投射材、ビーズ、玉、ショット、砂と呼ばれることもあります。
元々、サンドブラストのメディアには砂が使われていましたが、現在は砂に限らず、様々なメディアが使われており、何を選ぶかによって仕上がりが変わります。
サンドブラストを通して製品を納得いくように仕上げるにはメディア選びは非常に重要と言えるでしょう。
ブラスト加工で使われるメディアの種類
この章ではブラスト加工で使われる主なメディアの種類とその特徴をご紹介します。
珪砂
研削力が高く、比較的安価に手に入れられるのが特徴です。
ホームセンターなどでも手に入れられます。
塗装剥がし、サビ落とし、スケール剥がしなど様々な用途に使えます。
粒の大きさの種類が幅広いので、サンドブラストを行う目的によって上手く選ぶことが必要です。
アルミナ
白色アルミナや褐色アルミナといった種類があります。
白色アルミナは加工物を汚さずにブラスト加工ができるのがメリットです。
一方で、褐色アルミナは硬く、研削力があります。
カーボランダム(炭化ケイ素)
アルミナよりも硬く、研磨力が非常に高いです。バリ取り、下地処理などに使用されます。
黒色炭化ケイ素や緑色炭化ケイ素といった種類があり、緑色炭化ケイ素の方が硬度が高く、様々な物質に対応できます。
ガラス
ガラスビーズは球体で表面が丸いため、あまり研磨はしないのが特徴です。
梨地加工や光沢を出すのに使われます。
ガラスパウダーはガラスビーズのように球体ではないため、より研磨力があります。
ガーネット
宝石系のメディアの1つで、赤色が特徴的です。
硬く、割れにくいことからサンドブラストのメディアとして使われます。
クルミ
硬度がそれほど高くないため、製品を傷つけずに加工できるのがメリットです。
植物系のメディアにはその他にもコーン、アプリコット、ピーチなどがあります。
樹脂
硬度が低いため、噴射しても加工物の表面の状態はあまり変わりません。
傷がつきやすい加工物のバリ取りなどに使われます。
鉄
鉄はメディアとして使用しても消耗が少ないのが特徴です。スケール除去や梨地加工に向いています。
スチールのメディアには球状のスチールショット、鋭利な部分があるスチールカットワイヤーなど様々な種類があります。
ステンレス
ステンレスショット、ステンレスグリッド、ステンレスビーズ、ステンレスカットワイヤーなど、様々な種類があります。
ステンレスグリッドは錆びにくく、耐久性が高いので長持ちします。鋭い部分があるため、研削力は高いです。
銅
塗装の剥離に使用されることが多いです。硬度はそれほど高くないものの、重量はあるのが特徴です。
亜鉛
アルミダイカストのバリ取り、付着物除去、梨地加工などに使用されます。
また、銅と同じように硬度が低く、高比重なので塗装剥離にも使われます。
サンドブラストでメディアを慎重に選ぶべき理由2つ
この章ではサンドブラスト加工をするときにメディアをしっかり選ぶべき理由をまとめました。
仕上がりが変わるから
メディアを慎重に選ぶべき理由の1つは仕上がりに大きく影響を与えるからです。
これまで説明してきたようにメディアには様々な種類があり、特性も異なります。
例えば、球状の研磨剤は加工物の表面をあまり研削しません。
一方で、鋭利な部分があり、しっかり表面を削るものもあります。
また、表面も粗く仕上げるメディアがあれば、光沢のように綺麗な表面に仕上げるものもあります。
納得のいく表面に仕上げるためにはそれぞれのメディアの特徴を知った上で、理想の状態に合うものを選ばなくてはいけません。
素材との相性があるから
メディアは加工物の素材に合わせて選ぶことも大切です。
相性によっては思うように研磨できないこともあります。
例えば、デリケートで傷つきやすい加工物の場合は樹脂のように柔らかさがあり、加工物にダメージを与えにくいメディアを使わなければ表面を傷つけてしまうでしょう。
また、硬くて脆い加工物には幅広いメディアの中でも特に硬度が高いセラミック系でなければ対応できません。
ガラス系やセラミック系は幅広い素材に対して使うことができます。
サンドブラストのメディア選びで失敗しないコツ3つ
この章ではサンドブラストのメディア選びで失敗しないために覚えておくべきことをまとめました。
理想の仕上がりを決めておく
加工するにあたってどのような仕上がりを求めるのかを決めておきましょう。
理想の仕上がりが分からなければ、どのメディアを選ぶべきなのかも分かりません。
理想に近い表面の見本があれば、よりメディア選びの精度を高められるでしょう。
業者とよく話し合う
サンドブラスト加工を業者に依頼して行う場合、打ち合わせの段階でメディアについてしっかり話し合いましょう。
ブラスト加工を行っている業者は様々なメディアや加工物に触れているため、メディアや素材との相性について知り尽くしており、とても頼もしい存在です。
ただし、業者はどのような仕上がりにしたいのかを考慮した上でメディア選定を行うため、先ほども述べたように、まずはご自身がどのような仕上がりを求めるのかをはっきりさせておきましょう。
価格など条件のバランスが良いものを選ぶ
メディアを選ぶ際には価格、品質、納期といった点も考慮しましょう。
いくら加工物と相性がよく、一番理想的な仕上がりになるメディアでも、予算を大幅に超える値段だったり、納品までに時間がかかったりすれば満足度は下がってしまいます。
納得のいく選択ができるよう、あらゆる面で条件を満たすメディアを選びましょう。
サンドブラストでメディアの種類以外に検討すべきポイント4つ
この章ではサンドブラストがメディアの素材以外に検討すべきポイントをまとめました。
投射距離
加工物と機械との距離は重要なポイントです。
近くから勢いよくメディアを噴射するのと、少し離れて噴射するのではどちらの方が深く研削するかは想像に難くないですよね。
仕上がりはこのように投射距離でも変化します。
圧力の大きさ
サンドブラストは圧縮エアーで研磨剤を加工物の表面に直接噴射する仕組みになっています。
このエアーの圧力の大きさによっても仕上がりが変わります。
メディアの粒の形
メディアの種類の章でも少し触れましたが、同じ素材の研磨剤でも、粒の形状が違うと研削力が変わります。
例えば、ガラス系のメディアの場合、ガラスビーズは球体なので表面を粗く削るというよりは光沢っぽい仕上げにするなど、見た目を良くするために使われます。
一方で、ガラスパウダーは鋭角な部分があるのでガラスビーズよりも切削力があります。
メディアの素材の種類を決めたら、さらにその中でもどの研磨剤を選ぶのか検討が必要です。
メディアの粒の大きさ
粒の大きさによっても仕上がりが変わります。
例えば、珪砂は2号、3号、4号・・・と大きさによって種類が分けられています。
粒が大きいと粗めに仕上がり、細かいと繊細な仕上げも可能なので、求める仕上がりによって大きさも使い分けましょう。
まとめ
ブラスト加工のメディアはセラミック系、ガラス系、樹脂系、金属系と様々な種類があり、それぞれ特性が異なります。
求める仕上がりを実現するにはメディアを加工物の素材に合わせて上手く選ぶことが大切です。
業者に依頼する場合はしっかり打ち合わせを行い、理想的なメディアを選び出しましょう。
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