ショットブラストの特徴・メリット・デメリット・種類を徹底解説
この記事では次の内容をまとめています。
・ショットブラストでできること・ショットブラストのメリット
・ショットブラストのデメリット
ショットブラスト加工をしようと考えている方が知っておくべきことを全てまとめました。
ショットブラストとは
加工物の表面に粒状の投射材を吹き付けて表面を削るもので、ブラスト加工の一種です。
ショットブラストはモーターにより羽根車を高速回転させ、その遠心力を利用して投射するのが特徴です。
ショットブラストでできること
ショットブラスト加工では次のようなことができます。
・錆の発生を防ぐ
・塗料を長持ちさせる
・汚れの除去
・塗料剥がし
・滑り止め
・耐久性向上
・見た目を良くする
・フロスト加工
・ピーニング
ショットブラストの使用例5つ
この章ではショットブラスト加工が使われるものの例をご紹介します。
鋼材
ショットブラストには様々な用途がありますが、その中でも特に多いのが鉄の錆の進行を防ぐことと、塗装を長持ちさせることです。
ショットブラスト加工前の鉄の表面には酸化物がついています。
この上から塗装してしまうと、錆ができやすく、塗装の寿命は短くなります。
そこで、まずショットブラストで表面の酸化物を取り除き、その上から塗料を塗ります。
酸化物を取り除く際に加工物の表面には凸凹ができます。
表面に凸凹があると塗装の密着度が高くなります。
また、酸化物を取り除いているため、錆も発生しにくくなります。
このように塗料を長持ちさせることができるので、ショットブラストは鉄に対してよく使われています。
舗道
ショットブラストはあなたが普段歩いている舗道に使われることもあります。
ショットブラスト加工をすると表面の汚れが取れ、さらには磨かれることでより美しい見た目に変わります。
造船
船は長時間旅に出るものなので、塗装の密着度を上げ、長持ちさせる重要性がとても高く、ショットブラスト加工がとても適しています。
同じ海に関係するものでは海洋構造物にもショットブラストが施されます。
橋
橋の歩道や裏側の補強材などに使われます。ショットブラストはあらゆる面から橋を支えています。
建築
非常階段や入り口など、風雨にさらされる部分に使われる部材にショットブラスト加工がされます。
ショットブラスト加工をするメリット5つ
この記事ではショットブラスト加工をするメリットをご紹介します。
塗装が長持ちする
先ほどもご説明したように、ショットブラストで加工物の表面に凸凹を作ることで塗装が密着し、長持ちします。
塗装が剥げやすいとすぐに見た目が悪くなったり、何回も塗り直さなくてはいけなくなったりと、様々なデメリットが生じます。
橋や船など、大きなものは特に度々塗り直すことは難しいですし、コストもかかります。
だからこそ、塗装前にショットブラストの一手間をかけることが望ましいのです。
耐久性が上がる
ショットブラスト加工では加工物に直接投射材をぶつけるため、表面が硬くなり、丈夫になります。
また、摩耗や損壊もしにくくなります。
少しでも製品の寿命を長くしたい方におすすめです。
製品の見た目が良くなる
ショットブラストでは投射材の種類やぶつける強さによって仕上がりに変化を出すことができます。
そのため、光沢のような仕上げにしたり、ザラザラでマット感のある見た目にしたりすることができます。
仕上がりが変わると製品に対する印象も変わるので、見た目にこだわりたい場合はショットブラスト加工を通してどんな仕上げを求めるのかを依頼する前に考えておきましょう。
打ち合わせの際は仕上がりのイメージに近い製品を持っていくと、イメージを正確に伝えることができますよ。
滑りにくくなる
投射物が当たり、表面に凸凹ができることで、加工物は滑りどめやゆるみどめの効果が高くなります。
このように、ショットブラスト加工によって新たに性能がプラスされるケースもあります。
一度に大量の製品を加工できる
ショットブラストのやり方によっては一度に多くの製品を加工することができます。
そのため、依頼する量が多くても比較的短い時間で仕上がることもあります。
ちなみに、投射材に比重が大きいものを使用すると効率よく加工ができます。
ショットブラスト加工をするデメリット4つ
この章ではショットブラスト加工を依頼する前に知っておきたいデメリットをご紹介します。
光沢が出ない
光沢仕上げができないのがデメリットの1つです。
光沢があるとピカピカしてとても綺麗な見た目になります。絶対に光沢のある見た目にしたいという場合はショットブラストは合わないかもしれません。
ただし、加工方法を調節することによって光沢に近い仕上げにすることはできます。
また、光沢でなくても綺麗な質感に見せることはできるので、まずは業者と相談するのがおすすめです。
大きい製品は加工に時間がかかる
ショットブラストは機械を使って自動で加工することもありますが、大きい製品の場合、機械を使うことは難しく、手動で加工をすることになります。
このとき、製品の面積が大きければ大きいほど加工に時間がかかるのがデメリットです。
大きな製品を依頼する場合は時間がかかる可能性があることを頭に入れ、出来るだけ時間に余裕を持って依頼するのが望ましいです。
投射のやり方を部分によって変えられない
機械を使って全自動でブラスト加工を行う場合、全体が同じ投射材、同じ強さによって加工されます。
そのため、部分部分で加工のやり方を変えるということができず、全体が同じ仕上がりになります。
ちなみに、ショットブラストは投射材を吹き付けることで加工するものなので、製品の形状が複雑で投射材が当たらない部分がある場合、そこには加工をすることができないため、注意が必要です。
サンドブラストに比べて投射力が弱い
ショットブラストと似たブラスト加工にサンドブラストというものがあります。
投射材を直接加工物に噴射するという点では同じですが、サンドブラストでは圧縮エアーで投射物を吹き付け、ショットブラストは羽根車の回転により噴射するという違いがあります。
ショットブラストの投射力はモーターの性能によって変わり、サンドブラストに比べて弱い場合もあります。
ショットブラストの主な2つの種類
この章ではショットブラストの主な種類をご紹介します。
手動ショットブラスト
ショットブラストは手動と自動の2つに大きく分けることができます。
大きい製品や形が複雑なものは手動で加工が行われることが多いです。
このとき、大きければ大きいほど作業に時間がかかるのが難点です。
自動ショットブラスト
機械により完全自動でショットブラストを行います。
機械に入るような比較的小さいサイズの加工物に使用されます。
自動ショットブラストにはさらに次のような種類があります。
・ローラーコンベア式
・ハンガー式
・テーブル式
・ドラム式
・エプロン式
弊社ではハンガー式、テーブル式、ドラム式、エプロン式の4種類に対応しています。
それぞれの方式の特徴、メリット、デメリットはこちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
ショットブラストは加工物の表面に直接投射材を噴射して加工するものです。
鉄の錆の進行を防いだり、塗料の密着性を高めたりと、様々なメリットがあります。
ただし、デメリットもいくつかあるので、まずはショットブラストに対応している業者に連絡し、加工について相談してみましょう。
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