自動造型機の特徴・メリット・デメリットを徹底解説
この記事では次の内容をまとめています。
・自動造型機とは・自動造型機を使用するメリット
・自動造型機を使用するデメリット
自動造型機による型の製作を依頼しようと考えている方が知っておくべきことを全てまとめました。
自動造型機とは
鋳造に使用する型を自動で作る機械のことです。
造型枠の取り付け、砂込め、搬送といった作業を人の手を借りずに行うことができます。
性能や作れる型のサイズ・形状は機械によって異なります。
型を作る方法としては他にも完全に人手によって行うものや、半自動で作るものがあります。
自動造型機には完全に機械で作業を行うことによるメリットがたくさんあります。
自動造型機を使用するメリット6つ
この章では自動造型機を用いた鋳造をするメリットをご紹介します。
生産効率が高い
機械のメリットといえばなんと言っても生産効率が高いことです。
手作業や半自動で造型をする場合と比べて、短い時間でより多くの型を製造することができます。
量産ができる
自動造型機は量産に向いているのも特徴の1つです。
依頼数が多い場合にはぴったりです。
また、造型やその先の工程がサクサクと進むため、量産でも比較的短い納期で納品してもらえるでしょう。
「数が多いけれど受け入れてもらえるかな?」と心配な方は自動生産ラインを持っているところに問い合わせをしてみましょう。
人手があまり必要なく安全に作業できる
自動造型機は人手がほとんど必要ありません。
従業員が機械に近づいたり、触れたりしないため、安全に作業に当たれます。
このように、自動造型機には企業側にも導入するメリットがあります。
精度が高い
完成品の精度が高いというメリットもあります。
鋳造において型の精度は非常に重要なポイントです。
なぜなら、型の寸法がズレていたら、それによって製作された鋳物の寸法も予定とは異なるものになってしまうからです。
すると、せっかく製作した鋳物も廃棄せざるを得なくなり、非常に勿体ないです。
品質が一定
自動造型機は一定の品質で鋳型を製作することができます。
砂の入れ方や圧力のかけ方は機械によって常に同じように行われるからです。
反対に、完全に人手で行う場合や半自動の場合では職人によって品質にバラつきが出ることもあります。
機械による造型は安心して依頼できるというメリットがあります。
強度が高い
強度の高い鋳型が完成するのも特徴の1つです。
強度が高いことで安心して型として使用できます。
自動造型機は精度と強度が高い鋳型を安定して製作できる優秀な造型方法だということが分かります。
自動造型機を使用するデメリット2つ
この章では自動造型機を使用するデメリットをご紹介します。
寸法に制限がある
造型を行うとき、型枠を用意します。
自動造型機では枠は基本的に固定となり、その枠に収まる大きさのものしか製造することができません。
そのため、近くの業者に依頼しようとしても、枠の大きさが理由で断られてしまうこともあります。
機械によって得意分野が異なる
自動造型機はいろいろなメーカーからたくさんの種類が販売されています。
機械によって得意なことや長所は異なります。例えば、次のようなものがあります。
・背の高い鋳型に対応できる
・大型の鋳型に対応できる
・造型性が高い
・コストパフォーマンスが高い
そのため、依頼した業者の自動造型機が自分が作りたい製品に最適でないケースもあります。
弊社が導入している自動造型機
弊社が使用している自動造型機を2種類ご紹介します。
自動造型機 AMF-Ⅱ型
メーカー名:東久
台数:1台
使用例:砂型造型
枠サイズ:450mm×550mm
自動造型ライン
メーカー名:中川鋳機
台数:1式
使用例:砂混錬、砂供給、造型、砂型バラシ、砂回収
量産品の製造に適した設備です。
自動造型機での鋳造を依頼するときの4ステップ
この章では自動造型機を利用しようと考えている方が知っておくべき依頼のステップを流れに沿ってご紹介します。
業者に問い合わせ
まずは電話、メール、公式サイトの問い合わせフォームで業者に直接問い合わせをします。
このとき、簡単でもいいので依頼の概要や製品の寸法・形状を伝えることで、対応可能かどうかが分かることもあります。
また、この段階で依頼内容を詳しく伝えることで、次の打ち合わせで話がスムーズに進みます。
担当者と打ち合わせ
次に、担当者と打ち合わせを行います。改めて依頼内容を伝え、製作方法について擦り合わせを行います。
担当者とじっくり話せる機会なので、疑問点があれば遠慮なく聞いてみましょう。
些細な疑問でも解消することで、安心して製作に移れますし、思わぬトラブルを防ぐことにも繋がります。
初めて依頼する場合、どの造型方法を選ぶべきか、使用する金属はどんな種類がいいかといったことが分からないかもしれません。
そのような場合は業者がベストな方法を提案してくれるので、初めての方でも安心です。
見積もり
造型や鋳造の方向性が固まったら見積もりに移ります。
鋳造の依頼でお金のトラブルに巻き込まれないようにするためには必ず詳細が書かれた見積書を作ってもらいましょう。
なぜなら、見積書がなければ製作が終わったあとで追加の料金を請求され、予定より高額の支払いになってしまうこともあるからです。
口頭での確認で済ますのではなく、必ず書類を用意してもらいましょう。
試作品製作
試作品製作の工程がある業者もあります。
見本を作ってもらい、一度自分の目で確かめられると、より安心して任せることができますね。
自動造型機以外の造型方法2つ
この章では自動造型機以外の造型方法の特徴、メリット・デメリットをご紹介します。
手込め造型
昔からある造型方法で、機械を用いずに手作業によって行います。手込め造型の中にはさらに「流し吹き法」「土間込め法」といった種類があります。
機械化が進んだことで、手込め造型を行う職人は減少傾向にあります。
メリット
・機械への指示にかける時間を削減できる
・多品種小ロットに向いている
デメリット
・量産には向いていない
・職人の腕によって出来が左右される
・品質が一定でない
F1モールディング
「F1造型」とも呼ばれます。枠に砂を詰め、F1モールディングマシンによってプレスすることで造型する方法です。
具体的には次のような流れで作業が行われます。
ステップ1 砂混錬
ステップ2 型をセットする
ステップ3 下枠に砂を入れて固める
ステップ4 型を反転させる
ステップ5 上枠に砂を入れて固める
ステップ6 プレスして砂を固める
ステップ7 型・枠を抜く
手作業もマシンを使った作業も両方あるのが特徴です。
弊社でもF1モールディングマシンを導入しています。
メリット
・ロット数1から対応可能
・多品種生産に向いている
・簡単な形状に向いている
・小物に向いている
・型にかかる費用が比較的安い
デメリット
・大きい製品は対応できない
・職人の腕によって仕上がりが左右される
・対応できる内容は業者によって異なる
まとめ
自動造型機とは自動で鋳型を作る機械です。
生産効率が高く、精度や強度の高い鋳型を安定して作れるというメリットがあります。
一方で、
・寸法に制限がある
・機械によって得意分野が異なる
といったデメリットもあります。
造型方法は他にも完全に手作業のものやF1造型もあり、何を選ぶべきかは製造の条件によって異なります。
そこで、まずは鋳造に対応している業者に問い合わせをし、依頼内容を伝えましょう。
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