銅合金鋳造の特徴・メリット・デメリットを徹底解説
この記事では次の内容をまとめています。
・銅合金とは・銅合金鋳物の特徴
・銅合金鋳物の主な種類
この記事では銅合金鋳造を考えている方が知っておくべきことを全てまとめました。
銅合金とは
銅合金とは銅と金属または非金属が1種類以上混ぜ合わさったものです。
銅と亜鉛の合金は黄銅、銅とニッケルの合金は白銅、銅とスズの合金は青銅と様々な種類があります。
種類によって特徴が異なり、鋳造の際は用途によって性質が合うものが選ばれます。
銅は融合性に優れているため、様々な物質と合金を作ることができます。
鋳造には長い歴史があり、銅合金は加工しやすい性質を持つことから、古来から使われています。
現代でも、バルブ部品、ポンプ部品、厨房用部品、船舶用プロペラ、仏具など、幅広いものに使用されています。
銅合金鋳物の特徴7つ
この章では銅合金鋳物の基本的な特徴をご紹介します。
電気伝導・熱伝導に優れている
銅合金は通電性や熱伝導性に優れています。
他の金属の鋳物よりも優れていることから、機械部品に使われることも多いです。
例えば、身近なところで言うとスマートフォンの部品にも使われていて、現代の生活を支えていると言っても過言ではありません。
熱伝導性があることから、調理器具にも活用されています。
適度な強度がある
銅合金には適度な強度があります。
生産道具、祭祀道具、武器、船舶など幅広いものに使われてきたのは強度の高さも1つの要因でしょう。
近年では銅をはじめとした様々な金属や非金属の性質が分かり、研究も進んだことで、より丈夫な銅合金を作り出せるようになっています。
強度の高さは混ぜ合わせる物質や配分によって変化します。
錆びにくい
耐食性が高いという特徴もあります。
そのため、船舶部品や水道部品によく使われています。
スズを加えた青銅は水に対する耐食性に特に優れていて、用途によっては耐食性をより高めるためにスズの配分を増やしたものが使われることもあります。
弊社でも銅合金鋳造を行いながら、水道メーターの製造、修理、改造を行っております。
金属は鉄のように錆びやすいものもあるからこそ、銅合金は防錆性が求められる場面で重宝します。
耐摩耗性に優れている
耐摩耗性が高いのも大きなメリットです。
摩耗による劣化が起こりにくくなるため、銅合金で作られた部品を用いた機械や装置は寿命が長くなります。
また、部品の交換頻度が減ることでメンテナンスコストを下げられるというメリットもあります。
先ほどもご紹介したように銅合金は適度な強度があり、さらに耐圧性に優れているという特徴もあり、非常に頼もしい物質と言えるでしょう。
見た目が綺麗
銅は有色金属で、他の金属にはない見た目の綺麗さがあるのが強みです。
色鮮やかで光沢のある見た目はおなじみですよね。銅合金にもこの性質が受け継がれています。
高級感を出せることから、装飾品、建築物、彫刻品、家具に使用されることもあります。
錆びにくい性質を持つため、雨風に晒される場所に使われても見た目を長期間維持できます。
有色金属は少ないからこそ、見た目の良さが求められる場面で活躍する金属です。
加工しやすい
銅は伸びやすく削りやすいという特徴があります。
鋳造後に機械加工をして仕上げるケースもよくあります。
弊社でも鋳造、機械加工、組み立て、検査と一貫して対応しており、鋳造だけでなく加工も合わせて依頼されるお客様もいらっしゃいます。
機械加工を依頼するには、鋳造と加工で別の会社に依頼するという方法もありますが、一貫してできる会社に任せた方がコストも打ち合わせにかける時間も減らすことができます。
金属性の鋳型は使えない
電気伝導に優れている、見た目が綺麗といった様々なメリットを持つ銅合金ですが、デメリットもあります。
それは金属製の鋳型は使えないという点です。
鋳型とは銅合金を流し込む型のことです。
銅合金は融点が高いので金型を使うことが難しいです。
そのため、基本的には砂型を始めとして、金属以外の物質で作られた型が使われることが多いです。
金型は一度型を作れば何度も使えるため、大量生産に向いていますが、銅合金ではその恩恵を受けられないケースが多いです。
銅合金鋳物の主な種類6つ
この章では銅合金鋳物の主な種類とその特徴をご紹介します。
CAC100系統
純銅鋳物がこのグループに属します。
純度99.9%以上の物質が純銅と呼ばれます。
特徴は熱伝導率と導電性が非常に高いことで、電線や鉄道部品などによく使用されます。
CAC200系統
亜鉛との合金である黄銅系鋳物のグループです。融点が低めで鋳造性が高いのが特徴です。
また、切削加工がしやすいという特徴もあります。
装飾用品、日用品、建築用金物など、様々な場面で使用されます。
CAC300系統
高力黄銅鋳物です。
銅と亜鉛にさらにマンガン、アルミニウム、ニッケル、鉄などを加えた物質です。
強度が高く、耐摩耗性と耐食性に優れています。
CAC400系統
スズとの合金である青銅鋳物です。
青銅は数ある銅合金の中でも特に使われる機会が多い種類です。
日本史で出てくる銅鐸は青銅で作られており、昔から身近にあったことが分かります。
耐食性、耐圧性、耐摩耗性に優れているため、水道部品としてよく使われます。
CAC700系統
アルミニウム青銅鋳物です。
青銅という名前がつきますがスズは含まれておらず、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、マンガンが含まれています。
光沢のある綺麗な見た目が特徴的です。強度が高く、耐食性にも優れていることから、船舶部品などによく使われます。
CAC900系統
ビスマス青銅鋳物と呼ばれるものです。
鉛を使用しない青銅を求める過程で作られた比較的新しい銅合金です。
鉛レス化を進めたいときに向いている物質です。
銅合金鋳造の流れ6ステップ
この章では銅合金鋳造の流れを順番に沿ってご紹介します。
砂処理
鋳型に使用する砂を作ります。
砂にベントナイトや水を配合します。
決められた配合量があるわけではなく、その日の気温や湿度によって調整する必要があり、適切な配合をするには経験が必要です。
造型
あらかじめ作っておいた型に先ほど用意した砂を流し込みます。
精度の高い砂型を作るには型にぴったりはまるように砂を注ぎ込むのがコツです。
固まったら、型を外します。これで砂型の完成です。
溶解
銅合金を加熱して溶かします。
このときの温度や成分調整が品質を左右するため、慎重に行わなければいけない作業です。
熱していると表面に不純物が浮かんでくるので、取り除きながら純度を高めます。
鋳込み
溶解した銅合金を砂型に流し込みます。
温度を維持しつつ、素早く流し込むことで不良品の発生を防げます。
仕上げ
銅合金が固まったら、砂型を外します。砂型に機械で振動を与えながら崩していきます。
型を外した後、製品に砂が付いている場合はショットブラストで取り除きます。
砂が完全に取り除けたら、さらに不要な部分を削ったり、磨いたりして仕上げます。
切削
機械加工も行う場合は鋳造の仕上げが終わったあとで行います。
機械加工は業者によっては対応していない場合もあります。
まとめ
銅合金とは、銅に一種類以上の金属または非金属を配合した合金のことです。
銅合金は基本的に電気伝導性が高い、錆びにくいなど、銅そのものが持つ性質を受け継ぎます。
ただし、銅合金は他の物質が混ざっていることから、それぞれ少しずつ性質が異なる部分があります。
用途によって適切な物質を選ぶことで理想の製品が完成しますよ。
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