砂型鋳造の特徴・工程・メリット・デメリットを徹底解説
この記事では次の内容をまとめています。
・砂型鋳造のメリットとデメリット
・砂型鋳造の種類
砂型鋳造を依頼しようと考えている方が知っておくべきことを全てまとめました。
砂型鋳造とは
砂でできた型で鋳造を行うことです。
歴史は古く、昔から鍋や鐘など様々なものを砂型鋳造で製造していました。
砂型鋳造では流し込んだ金属が固まったら型が崩されるため、砂型は一度だけしか使えないのが特徴です。
砂型鋳造は型の作り方によってさらにいくつかの種類に分けられます。こちらはまた後の章で詳しくご紹介します。
砂型鋳造のメリット5つ
この章では砂型鋳造のメリットをご紹介します。
型にかかるコストが安い
砂型鋳造は型にかかるコストが安いのが特徴です。
砂型以外には金型もありますが、こちらはもっと費用がかかります。
砂型は金属が固まった後に崩さなければいけません。
そのため、小ロットの依頼に向いています。
ちなみに崩した砂は再利用することができます。
比較的短い期間で完成する
砂型を製作するのにあまり時間はかかりません。
砂を入れて固まるまでの時間は型の大きさや、砂と一緒に混ぜているものによって変わりますが、早ければ5分で固まるケースもあります。
また、その砂を入れるための型を木で作る場合、比較的簡単に完成するため、ここでも時間を短縮できます。
小ロットで、早く製品が欲しいという場合は砂型鋳造が合っています。
複雑な形状も可能
砂型では複雑な形状が実現可能です。
例えば、中子を用いて中空の鋳物を作ることもできます。
中空とは文字通り中が空になっている形状で、鈴を思い浮かべると分かりやすいと思います。
大型製品の型も制作可能
砂型では大型の製品も作ることができます。
砂型鋳造で実現できる製品の幅はかなり広いです。
自分が作りたいものが実現可能かどうか不安という方も、ぜひ一度業者に問い合わせをしてみましょう。
素材の選択肢が広い
鋳造に使用する金属の種類は様々なものがあります。
砂型鋳造では材料の選択肢が広いです。
そのため、要望や用途に合わせて適切な金属を選んでもらえます。
砂型鋳造のデメリット5つ
この章では砂型鋳造を依頼する前に知っておくべきデメリットをご紹介します。
表面にざらつきが生じる
砂型は小粒の砂の塊なので、製品の表面が粗く、梨のようにザラザラした感触に仕上がるというデメリットがあります。
ただし、現在は人工の非常に細かい砂を用いることで荒さの程度を低くすることができます。
また、型を外した後にサンドブラストやショットブラストで小さな球をぶつけることで表面処理をすることも可能です。
単価が高くなる
先ほど、砂型鋳造は型の製作にかかるコストが安いのがメリットだとお話ししました。
しかし、型は金属が固まったらその都度解体するため、全く同じ型の鋳造を行う場合でも型を作り直さなければいけません。
そのため、製品単価は高くなりやすいです。
1回限りの試作品の製作を行う場合は砂型鋳造でも問題ないでしょう。
生産性が低い
型を毎回作り直さなければいけないため、砂型鋳造の生産性は高くはありません。
ただし、型を作るまでのスピードは速いため、1つだけ、もしくは小ロットの製作の場合は生産性の低さはあまり問題にならないでしょう。
量産は他の型の方が向いている
砂型鋳造は試作品の製作から量産まで対応可能です。
しかし、量産は金属型の方が向いています。
なぜなら、金属型は一度型を作ったら使い回すことができ、生産性が高いからです。
そのため、ロット数が多い依頼の場合は金型で鋳造を行うのが良いでしょう。
試作品は砂型鋳造で作り、型の寸法が決まってからは金属型で生産を行うというやり方も可能です。」
寸法精度が低め
砂型の種類によっては寸法精度が低いというデメリットがあります。
そのため、一度試作して大まかに製品の感じを確かめたいという場合には問題ありませんが、精度を重要視する製品の場合は金型鋳造の方がおすすめです。
ただし、砂型鋳造でも自硬性鋳型やガス硬化性鋳型では比較的精度は高いです。
砂型鋳造の種類4つ
この章では砂型鋳造の主な4つの種類をそれぞれご紹介致します。
生砂型
珪砂、粘土、水を混ぜ合わせて型を作ります。
安価に製作できる、型の固まるスピードが速い、型を崩すのが容易というメリットがある反面、強度が高くないため、崩れるリスクがあるというデメリットもあります。
自硬性鋳型
ガスを使用したり、熱を加えたりせずにそのまま放置することで硬めて成型します。
無機材を用いる無機自硬性と有機材を用いる有機自硬性の2種類に分けられ、後者で代表的なのはフラン樹脂を使用するケースです。
・寸法精度が高い
・鋳肌が綺麗に仕上がる
・砂を再利用しやすい
以上のような特徴があります。
ガス硬化性鋳型
珪砂、水ガラス、炭酸ガスによって型を製作します。水は使用しません。
珪砂と水ガラスを混ぜた状態で炭酸ガスを通すことで硬化させます。
・強度が高いが、吸湿性があるので時間の経過とともに強度は落ちる
・寸法精度が高い
・砂のリサイクル性は低い
このような特徴を持ちます。
熱硬化性鋳型(シェルモールド)
珪砂と熱硬化樹脂を混ぜたものです。
鋳型は貝殻(シェル)のような形になるため、「シェルモールド」と呼ばれることもあります。
・鋳肌が綺麗
・型の製作がしやすいので量産に向いている
・幅広い素材の鋳造に対応できるといった特徴があります。
砂型鋳造の工程6ステップ
この章では砂型鋳造の基本的な工程を流れに沿ってご紹介します。
木型で模型を作る
砂型を作成する前段階として、まずは木型で模型を作ります。
この型は木だけでなく、金属や樹脂で作られるケースもありますが、木は安く、製作が速く進むという利点があるため、砂型鋳造でよく使われます。
中子作成
鈴のように空洞を持つ製品を製作する場合はここで中子を作成します。
中子が完成したら型に取り付けます。
砂型造形
木型に砂を流し込みます。
木型と反転した形状の砂型が完成します。
砂が固まるまでの時間は気温、湿度、型の種類、製品の形状によって異なります。
鋳込み
溶かした金属を砂型の中に注入します。
このとき、金属の温度や入れるスピードに注意を払わなければ欠陥が生じる原因となります。
例えば、内部に空間ができたり、表面の一部が凹んだりすることがあります。
問題のない製品を完成させるには経験が必要です。
バラシ
鋳型を崩して製品を取り出し、表面についた砂を取り除きます。
このとき、解体された砂は再利用されることもあります。
中子がある場合はこちらも崩して取り除きます。
仕上げ
バラシの工程で取れなかった砂はショットブラストやサンドブラストで取り除きます。
また、必要のない部分があれば削って磨きます。
場合によっては熱処理を行い、強度や硬度を上げることもあります。
最後に検査を行い、問題がなければ依頼主の元へ出荷されます。
まとめ
砂型鋳造とは砂によって作られた型を使った鋳造のことで、日本では古くから使われていました。
型にかかる費用が安い、対応できる形状の幅が広いなどの利点があります。
一方で、型を毎回崩さなくてはいけないので生産性が低い、種類によっては寸法精度が低いといったデメリットもあります。
・試作品を作りたい
・小ロットで依頼したい
・幅広い素材で鋳造したい
このような場合には砂型鋳造が合っていますよ。
ブログ一覧へ