ブログ
ブログ

鋳造で使われる砂の管理方法について解説

鋳造で使われる砂の管理方法について解説

この記事では次の内容をまとめています。

・鋳造で砂の管理を徹底すべき理由

・鋳造で使われる砂の管理方法

・管理を徹底するために必要なこと

 

鋳物砂の管理方法について詳しく知りたい方は必見です。

鋳物砂の主な種類3つ

この章では鋳造で使われる砂の主な種類を簡単にご説明します。

珪砂

鋳物砂で最もよく使われているのが珪砂です。

手に入りやすいため、昔から鋳造用の砂として使われてきた歴史があります。

珪砂は粘土分2%以下、主成分が二酸化ケイ素という特徴を持ちます。

熱膨張しやすいため、添加物を混ぜて造型します。

山砂

粘土分は2%以上です。

粘結力があるので、水分を加えるだけ、もしくは他の材料を少し混ぜるだけで造型できます。

特殊砂

上記の2つに比べると高価ですが、機能性が高いのがメリットです。

次のような種類があります。

・ジルコンサンド

・クロマイトサンド

・オリビンサンド

・アルミナサンド

鋳造で使われる砂の管理を徹底すべき理由4つ

この章では鋳物砂の管理を徹底すべき理由をご紹介します。

砂型の精度が上がる

砂の管理が行き届いていなければ砂型の精度が下がる恐れがあります。

例えば、砂の粒度や形状が想定のものと異なる場合、仕上がった型の表面が粗すぎたり、ガスの抜け具合が悪くなったりと、様々なトラブルが発生し、最悪の場合は作り直しになることも考えられます。

砂型の仕上がり具合で鋳物の完成度も変わるため、砂の管理は徹底すべきです。

欠陥防止になる

欠陥防止にも繋がります。

不純物が混じった砂を鋳造に使用すると、気泡が入ったり、割れたりするなど欠陥が生じる原因となるためです。

鋳造はその性質上、欠陥が生じやすいため、砂の管理を徹底して少しでもその確率を下げることが重要です。

そこで、検査を定期的に行い、砂の成分や状態に問題がないかをチェックするのが理想的です。

砂のコスト削減になる

造型に使用した砂は崩して回収し、再利用します。

このとき、そのまま再利用するのではなく、樹脂や粘結剤を剥がして、できるだけ元の状態に戻します。

このように適切な管理を行い、砂の再利用率が高くなれば、購入費用を削減できます。

ただし、適切に手入れをしても、劣化が進んでいるものなど、問題がある砂は鋳物砂として再利用することはできません。

環境対策になる

適切に再生処理を行い、廃棄する砂の量を減らせば環境対策にもなります。

鋳造で使われる砂の管理方法6つ

この章では鋳物砂の管理方法をご紹介します。

砂の選定

鋳物砂の管理は調達の時点から始まっています。

鋳造では製造する製品の特性や鋳造方法に応じて適切な砂を選定します。

適切な砂を見極めてもまだ油断はできません。

品質の高い砂を提供している販売元から取り寄せることも大事です。

砂の質に応じて鋳型の質や鋳物の出来も変わるので、砂の品質にはこだわりましょう。

砂の保存

砂は自然の中にあるものですが、鋳物砂は丁重に管理する必要があります。

温度や湿度によって状態が変化しないよう、保管場所には十分注意する必要があります。

また、他の種類の砂と混ざらないようにラベリングをして分けて保存することも大切です。

虫などの砂以外のものが混入しないように密閉しておくことも求められます。

砂混錬

造型する際、砂混錬を行なって造型に適した状態にします。

砂の種類にもよりますが、ベントナイトなどの粘結剤や添加物を混ぜるのが一般的です。

このとき、何をどれくらい入れるべきかは砂の状態によって変わるため、きちんと砂を管理し、状態を把握しておく必要があります。

砂の回収

鋳型に使用した砂は一度使って終わりではなく、回収されて再利用されます。

まず、流し込んだ金属が固まったら鋳型に振動を与えて崩します。

このとき、鋳型に砂がくっついている場合はショットブラストで取り除きます。

ショットブラストとは粒状の投射材を勢いよく吹き付けて表面を削る加工方法です。

鋳物砂の回収以外にも

・塗料剥がし
・汚れの除去
・見た目をよくする

といった用途で使われます。

回収された砂の中には砂以外のものも混じっているため、専用の機械にかけて除去します。

砂処理

元の状態に戻して再び再生砂として使用するため、専用の設備を用いて再生処理を行います。

この処理では混錬の際に混ぜた粘結剤や樹脂を砂の表面から剥がします。

高温の中で行われるため、処理が終わったら冷却して最適な温度まで戻します。

砂の検査

鋳物砂の品質を保つためには定期的に検査を行い、砂の状態を確認することが大切です。

検査では次のような項目を確認します。

・水分
・通気性
・圧縮強度
・粒度
・表面安定度

検査の結果、再生砂として使用できないと判断されたものは取り除かれ、代わりに新しい砂が使用されます。

使用後の砂に対してどれくらいの割合が再生砂になるかは、再生処理の機械の種類など、あらゆる条件によって異なります。

鋳物砂の管理を徹底するために必要なこと3つ

この章では鋳物砂を管理するために必要なことをご紹介します。

データの収集・分析をする

砂の品質を一定に保つために自動検査装置などの技術を用います。

粒度や成分のデータを取り、異常があれば対処するようにすれば不良のない砂だけを使用することができます。

機械や設備を使用するメリットはなんと言っても人間では出せない正確性です。

人間のように作業をし続けて疲れて正確性が落ちるということもありません。

鋳物砂の管理ができる人材を育成する

鋳物砂を適切に管理するには担当者に専門の知識や技術が求められます。

そのため、企業は鋳物砂を管理する人材を育てる必要があります。

専門のノウハウだけでなく、なぜ砂を適切に管理する必要があるのかといった根本的な話を理解してもらうことも大切です。

また、最新の技術や知識は次々と出てくるので、定期的に教育や訓練の機会を設けるのが理想的です。

管理に使用する機械・設備のメンテナンス

再生処理の機械など、鋳物砂の管理に使用する機械や設備は使ううちに劣化していきます。

適切なメンテナンスができていないと機能性が落ち、再生率が下がったり、適切な処理ができなかったりとトラブルの原因となります。

そこで、機械や設備は定期的にメンテナンスをし、ベストな状態を保てるようにしましょう。

鋳造後の鋳物砂の利用方法3つ

この章では鋳造に使用した砂の使い道をご紹介します。

再生

先ほどからご説明しているように、鋳型に使用した砂は再生処理後、再生砂としてまた鋳型に使用されます。

他分野でリサイクル

再生砂としての利用が難しいと判断されたものは鋳造以外の分野で使用されることがあります。

例えば、セメントや道路の舗装材として使われます。

再生砂として使用できなくなっても、他分野でリサイクルすれば廃棄物が減り、環境に優しいです。

廃棄

リサイクルされないものは廃棄となります。

業者が鋳造で使用した砂は産業廃棄物となり、専門の業者に回収してもらう必要があります。

回収には費用がかかります。

まとめ

保存や再生処理など、鋳物砂を管理すべきシーンはたくさんあり、それぞれの工程で適切な方法で管理することが求められます。

そのためには人材の育成をしたり、データの収集・分析をしたりしなくてはいけません。

管理を徹底すれな鋳物の品質が上がり、欠陥の防止にもなります。

また、企業にメリットがあるだけでなく、環境対策にもなり、社会にとっても良い面があります。

 

ブログ一覧へ