銅合金の種類・特徴・用途・注意点をご紹介
この記事では次の内容をまとめています。
・銅合金とは
・銅合金の種類・特徴・用途・注意点
・銅合金の表記方法
銅合金について知りたい方のために徹底解説しました。
銅合金とは
銅を主成分とし、他の物質と混ぜ合わせてできた化合物のことです。
銅は融合性に優れていることから、様々な種類の銅合金があります。
銅には電気伝導性が高い、見た目が綺麗など様々な長所がありますが、同時に欠点もあります。
他の物質と混ぜることでその欠点を補い、さらなる長所を持つことができます。
銅合金は銅の基本的な特性を受け継ぎますが、混ざっている物質の特徴も受け継ぐため、種類によって性質が異なり、それぞれに合った用途で使われます。
銅合金の種類・特徴・用途・注意点
この章では主な銅合金の種類や特徴をご紹介します。
黄銅(真鍮)
銅と亜鉛の合金で、鉛、すず、アルミニウムなども添加されます。
黄銅、真鍮、ブラスと様々な呼び方があります。古くから利用されている銅合金の1つです。
特徴
・軽い
・展延性に優れる
・熱間鍛造性に優れる
・被削性に優れる
・光沢がある
・融点が比較的低い
用途
・五円硬貨
・金管楽器
・仏具
・機械部品
・装飾品
・配水用金物
丹銅
亜鉛が5~20%未満含まれている黄銅です。レッドブラスとも呼ばれます。
特に電気伝導性が高く、強度は純銅よりも高いです。
光沢が美しく、色は亜鉛の含有量によって変わります。
建築用部品、装飾品、金管楽器などに使用されます。
七三黄銅
亜鉛が3割含まれている黄銅で、銅と亜鉛の割合が7:3なのでこのように呼ばれます。
イエローブラスト呼ばれることもあります。
伸張性に優れているのが特徴です。
自動車用ラジエーター、ばね、時計部品などに使われます。
六四黄銅
亜鉛が4割含まれている黄銅です。
強度が高い、展延性に優れるといった特性があり、板金加工に向いています。
ネームプレート、配線器具部品、計器版などに用いられます。
快削黄銅
鉛を添加することで被削性を高めたものです。
切削加工でよく使われます。
C3560、C3561、C3710、C3713と様々な種類があります。
ネーバル黄銅
すずを添加することで耐海水性、硬度、強度を高めたものです。
一方で伸びは弱くなります。
船舶部品やシャフトに用いられます。
高力黄銅
六四黄銅にマンガン、アルミニウム、ニッケル、鉄などを添加したものです。
強度、耐摩耗性、耐食性が高く、鋳造性もあります。
船舶部品、ナット、歯車などに使われます。
青銅
銅とすずの合金で、黄銅と同じく、昔から使われてきた銅合金です。
りん青銅や快削りん青銅など、青銅の中にも種類があります。
特徴
・展延性がある
・強度が高い
・融点が低い
・鋳造性に優れる
用途
10円硬貨、銅メダル、銅像、美術品
ビスマス青銅
鉛を使用しない青銅を求める過程で作られたもので、歴史は浅いです。鉛の代わりにビスマスを用いています。
鉛フリーの素材を求める場合に適しています。
バルブ、水栓金具、機械部品などに使用されています。
アルミニウム青銅
銅とアルミニウムの合金で、青銅という言葉がついていますが、すずは含まれていません。
特徴
・耐海水性が高い
・耐摩耗性が高い
・鍛造しやすい
・軽い
用途
歯車、ボルト、ナット、船舶部品
高銅合金
銅の比率が96%以上の銅合金です。
熱伝導性や導線性が高い銅の性質を受け継ぎつつ、強度も高いのが特徴です。
混ぜる物質の種類は様々で、性質もそれぞれ異なり、チタン銅、ジルコニウム銅、鉄入り銅など多くの種類があります。
用途
精密機器用部品、自動車部品
ベリリウム銅
銅とベリリウムの合金で、高銅合金の一種です。
特徴
・強度が非常に高い
・バネ特性がある
・導電性が高い
・耐食性が高い
・ぶつかったときに火花が出ない
用途
自動車部品、防爆工具材料、溶接機部品
テルル銅
銅とテルルの合金で、高銅合金の一種です。
特徴
・切削性が高い
・導電性が高い
・熱伝導性が高い
・耐熱性が高い
・はんだ付け性に優れる
用途
放電加工用電極、トーチ火口、ヒートシンク、コネクター、ナット、ボルト
クローム銅
銅とクロムの合金です。
特徴
・耐摩耗性に優れる
・耐疲労性に優れる
・導電性が高い
・耐熱性が高い
・硬度が高い
用途
溶接用電極材、半導体や液晶用のバッキングプレート、ガスタービン
白銅
10~30%ほどのニッケルを混ぜた銅合金です。
ニッケルの含有量が多くなるほど銀の見た目に近づくため、銀の代用品として使われることがあります。
特徴
・耐食性に優れる
・展延性が高い
用途
50円玉、100円玉、食器、復水器、熱交換器
洋白
銅、亜鉛、ニッケルの合金です。「洋銀」とも呼ばれます。
白銅と同じように銀の代用品として用いられます。
特徴
・綺麗な見た目を持つ
・柔軟性が高い
・耐食性が高い
・耐海水性が高い
・電気抵抗が大きい
・バネ特性に優れる
用途
500円玉、装飾品、食器、医療機器、バネ、金管楽器
銅タングステン
銅とタングステンの合金です。
特徴
・硬度が高い
・導電性が高い
・熱伝導性が高い
・切削性に優れる
・耐摩耗性が高い
・耐熱性が高い
用途
電極、放電加工、高圧スイッチ
銅合金の表記方法
JIS規格で銅や銅合金の表記記号が定められています。
例えば、七三黄銅は「C2600」と表されます。
まず、先頭は銅の元素記号である「Cu」からとった「C」がつきます。
その後は4桁の数字が続きます。この部分は
C1000番台 純銅
C2000番台 銅と亜鉛の合金
C3000番台 快削黄銅
C4000番台 すず入り黄銅
C5000番台 りん青銅
など、数字ごとに種類が分かれています。
さらにこの後にアルファベットがつくこともあります。
この部分は材料の形状を示しており、例えば次のような例があります。
P 板、円板
R 条
B 棒
W 線
純銅の種類・特徴・用途・注意点
純銅とは工業用の銅のうち、銅の割合が99.90%以上のものです。
タフピッチ銅、脱酸銅、無酸素銅の3つに分けれられます。
特徴
・導電率が高い
・熱伝導率が高い
・磁性がない
・加工しやすい
・重い
・赤みのある光沢を持つ
用途
伝熱管、ヒートパイプ、磁気観測装置
タフピッチ銅
0.02~0.05%程度の酸素を残留させています。
展延性、耐食性、耐候性が高いという特徴を持ちます。
600度を超えると「水素脆化」が起こり、亀裂が生じるリスクがあります。
化学工業、電気、建築の分野で使われています。
脱酸銅
タフピッチ銅に脱酸処理を行い、水素脆化対策をしたものです。
りんを使用して脱酸したものは「りん酸銅」と呼ばれます。りん酸銅は絞り加工、曲げ加工、伸ばし加工に適しています。
溶接やろう付けに向いている純銅です。
無酸素銅
最も純度が高く、その純度は99.96%以上です。
特に熱伝導性、導電性が高く、高温になっても水素脆化を起こしません。
一方で、切削性はあまり高くありません。
電子機器、熱交換器、オーディオ機器などに使用されます。
弊社で取り扱いのある銅合金
弊社で取り扱いのある銅合金は主に、CAC406,CAC408,CAC804,CAC901,CAC902です。
ただし、他の材質も検討致します。
銅合金に関する疑問点がある場合はお気軽に弊社にお問い合わせください。
まとめ
銅合金は銅と他の物質を混ぜた化合物です。
基本的には銅が持つ性質を受け継ぎますが、混ぜた物質の性質も受け継ぐため、特徴や用途は銅合金の種類によってそれぞれ異なります。
また、工業用の銅で銅の純度が99.90%以上のものは純銅と呼ばれます。
純銅の中でも含有する酸素の量によってさらに種類が分かれます。
製造する製品や、求める性質によってどれを選ぶべきかは変わります。
日頃から銅を扱う業者なら適切なものを判断できますので、まずは問い合わせの際にどのようなものを作りたいか伝えましょう。
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