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鋳造で使われる鋳物砂の種類・特徴を徹底解説

鋳造で使われる鋳物砂の種類・特徴を徹底解説

この記事では次の内容をまとめています。

・鋳物砂とは

・鋳造で使われる鋳物砂の種類

・鋳物砂の大きさの種類

 

砂型鋳造を依頼しようと考えている方が知っておくべきことをまとめました。

鋳物砂とは

鋳造で砂型を作る際に使われる砂のことです。

砂型製作では砂はもちろん、ベントナイトや水分なども混ぜ、一般的には押し固めて成型します。

砂型は金属が固まった後にバラされますが、砂は回収されて再生利用されます。

使用する砂は何でもいいわけではなく、鋳造に向いている性質を持つものを選ぶ必要があります。

鋳物砂にはいくつか種類があり、それぞれ特徴が異なるため、用途や目的に合わせて使い分けられます。

鋳造で使われる鋳物砂の種類

この章では鋳造で使われる主な鋳物砂の特徴・メリット・デメリットをご紹介します。

珪砂

最もよく使われているのがこの珪砂です。

粘土分2%以下で二酸化ケイ素が主成分となっているのが特徴です。

手に入れやすいため、昔から鋳造に用いられてきました。

珪砂は天然珪砂と粗い粒のものを粉砕加工した人工珪砂の2種類に分けられます。

耐火性が高いのがメリットですが、熱膨張しやすいという欠点があるため、それを補う添加物を混ぜる必要があります。

山砂

粘土分2%以上の鋳物砂は山砂と呼ばれます。日本の様々な場所で採掘されています。

そのままの状態で粘結力があるため、水分を加えるだけ、もしくは粘結剤を少し使用するだけで造型ができます。

それだけに安価で製作できるのがメリットです。

特殊砂

山砂や珪砂以外の特殊な砂も砂型鋳造に用いられます。他の砂よりも高価です。

ただし、全体として熱膨張率が低いため、添加物で調整しなくても膨張による欠陥を防げるなど、機能面で優れた性質を持ちます。

主な特殊砂とその特徴を簡単にまとめました。

ジルコンサンド

・熱膨張が極めて小さい

・耐火性が高い

・結合力が高い

・変形しにくい

クロマイトサンド

・熱膨張率が小さい

・耐火性が高い

・生型だけでなくガス型などあらゆる鋳物に対応可能

・焼着などの欠陥を防止する

・冷却性能に優れる

オリビンサンド

・綺麗な鋳肌になる

・融点が高い

・熱膨張率が小さい

アルミナサンド

・熱膨張が小さい

・耐熱性が高い

・耐火性が高い

鋳物砂の大きさの種類

鋳物砂は粒の大きさによっても種類が分けられます。

粒の大きさは「号」という呼び方で分けられ、号数が大きくなればなるほど粒は細かくなります。

粒の粗さによって性質が異なるため、条件に応じて使い分ける必要があります。

業者によって扱う号数は異なります。

粗い鋳物砂の特徴

・通気性がよく、鋳造の際に発生するガスや水蒸気を外部に逃しやすいので欠陥が生じにくい

・鋳肌が粗く仕上がる

細かい鋳物砂の特徴

・鋳物の表面が綺麗に仕上がるため、見た目を良くしたいときに向いている

・通気性が低いため欠陥が生じるリスクがある

鋳物砂に求められる条件5つ

この章では鋳物砂を選ぶ際に求められる条件をご紹介します。

強度

砂型は寸法通りの鋳物を作るのに非常に重要な役割を担っています。

鋳型が鋳造中に変形したり壊れたりしてしまっては品質の高い鋳物は作れませんし、作業も初めからやり直しになります。

だからこそ、鋳物砂には鋳造の完了まで形が変わらない強度が求められます。

通気性

鋳造の際、流し込んだ金属や鋳型からガスや水蒸気が発生します。

これを型の外へ上手く逃せなければ鋳物に欠陥が生じる原因となります。

そのため、鋳物砂には通気性も求められます。

一般的に、砂の粒が粗ければ粗いほど通気性は良くなります。

鋳造は不良が生じやすいと言われますが、その要因の1つが鋳物砂なのです。

耐熱性

鋳造では非常に高い温度になった金属を流し込むため、砂には耐熱性が求められます。

耐熱性が不十分だと焼着といって砂と金属が混ざり鋳肌に砂がつく不良を起こしてしまいます。

再利用のしやすさ

再利用しやすいかどうかも重視されます。

砂型鋳造では金属が冷えて固まると型は崩されるため、砂型は一度しか使われません。

しかし、砂は回収して再生処理をされ、また新しい型の製作に使用されます。

そのため、鋳物砂は再生処理をしても粒の形や成分が変わらないようなものであることが望ましいです。

造型性

造型性は寸法精度の高い型を作れるかどうかに関わります。

造型性が高い砂は他の材料をあまり配合しなくても綺麗に造型することができます。

ただし、造型性が高くなくても添加物を入れることによって欠点を補うことができます。

他の材料を使用するほどコストがかかるのはデメリットです。

鋳物砂の再生方法4ステップ

この章では使用後の鋳物砂を再生する際の主な工程をご紹介します。

バラシ

砂型鋳造では固まった鋳物を型から取り出す際、振動を与えて砂型を崩します。

このとき、製品に付着している砂はショットブラストで除去します。

ショットブラストとは粒状の投射材を加工物に吹き付けて表面を削るものです。

回収

バラされたものの中には砂以外の物質も混ざっています。

そのため、回収された砂を専用の機械にかけ、他の成分を除去します。

再生

再度、鋳物砂として使用できるように再生処理を行います。

造型の際に混ぜた樹脂や粘結剤を砂から剥がし、元の状態に戻します。

再生処理された砂は全てが元通りになるわけではなく、一部は廃棄となります。

歩留まりの割合は使用する機械など、いろいろな条件によって異なります。

もちろん、割合が高いほど再生できる砂の量は多く、経済的にも環境的にもメリットがあります。

冷却

再生処理は高温の中で行われます。そのため、最後に砂を最適な温度まで冷却します。

冷却が終わるとまた鋳物砂として使用することができます。

砂型に使用される砂以外の材料3つ

この章では砂型で砂以外に使用される主な材料をご紹介します。

ベントナイト

砂型の粘着剤としてよく使われます。

粘結剤は鋳型の強度を高めるために欠かせないものです。

ベントナイトは日本では山形や群馬などで採れ、外国産のものも使われます。

種類や産地によって性質が異なります。

粘結剤はベントナイト以外にも種類があり、基本的に無機粘結剤と有機粘結剤に分類されます。

無機粘結剤・・・ベントナイト、粘土

有機粘結剤・・・デキストリン、油、澱粉、合成樹脂、糖類

このほかにも、水ガラス、セメント、石膏なども使用されます。

澱粉

・「しぼられ」「すくわれ」といった不良の防止

・鋳肌の安定性の確保

・補助粘結剤として

このような目的で使われます。

澱粉は粘結剤と添加物の両方の面を持っているのが特徴です。

添加剤

鋳型の機能性を高めるため、砂や粘結剤以外に添加物が使用されることがあります。

例えば次のようなものがあります。

石灰粉・・・「すくわれ」防止、鋳肌面をよくする、焼着防止

珪石炭・・・鋳型の耐熱性を上げる

籾殻・・・「すくわれ」防止、砂落としをしやすくする

ただし、添加剤の中には特定の性質を高める一方で、強度を下げたり、熱膨張しやすくなったりと、副作用のようにデメリットが生じるものもあります。

そこで、添加物のデメリットを補う添加物が必要になることもあります。

まとめ

砂型鋳造で使われる砂は様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。そのため、用途や要望に合った砂を選ぶことが重要です。適切な砂を用いて鋳造をするためには経験豊富な業者に依頼することが大切なので、業者選びをする際は実績をよく確認しましょう。

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