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鉛レス素材が鋳造で求められる理由・メリット・デメリットを解説

鉛レス素材が鋳造で求められる理由・メリット・デメリットを解説

この記事では次の内容をまとめています。

・鉛レス素材が求められる理由

・鉛レス素材を使うメリット

・鉛レス素材を使うデメリット

 

鋳造を依頼しようと考えているものの、鉛の扱いに悩んでいる方が知っておくべきことを全てまとめました。

鉛レス素材が鋳造で求められる理由3つ

この章では鉛レス素材が鋳造において求められる理由をご紹介します。

人体に悪影響を及ぼさないため

鉛は昔から私たちの身近にあった金属ですが、近年、健康に悪影響を及ぼすことが分かってきました。

具体的には摂取することで体調不良になったり、子どもの場合は発達に影響が出たりする恐れがあります。

そのため、出来るだけ鉛を使わない製品のニーズが高まっています。

鉛に関する規制に対応するため

先ほどご説明したように、鉛は人体に悪影響を及ぼすことから、法律によって使用が規制されています。

この規制を守らなければ製品を市場に流通させることはできません。

鉛レス素材は鉛のような性質を持ちつつ、こうした規制をクリアすることができ、とても便利です。

企業の信頼性を守るため

鉛レス素材を使用し、安全な製品を使うことは企業の信頼性に直結します。

基準値を守っていたつもりでも、万が一、流通後に基準を超えた鉛が検出された場合は大きな問題になってしまいます。

一度失ってしまった消費者からの信頼を取り戻すのは並大抵のことではありません。

最初から鉛レス素材を利用していれば、こうしたリスクを避けられます。

鉛レス素材を鋳造で使用するメリット4つ

この章では鋳造の際に鉛レス素材を使うメリットをご紹介します。

ニーズが高い

まず、鉛の使用を抑えた製品は安心感があり、ニーズが高いです。

特に、水道メーターや調理器具のような、人が口に入れるものに触れる部分がある製品は特に鉛レスの需要が高いです。

鉛レス素材を使用していれば、これから鉛の規制が強化されても対応できるのも魅力です。

リサイクルしやすい

鉛を使った製品は適切に処理しなくてはいけません。

万が一、不法投棄など、適切な処理がなされなければ、鉛が土壌を汚染し、そこで採れた水や食べ物を摂取することによって健康問題を引き起こすこともあり得ます。

一方で、鉛レス素材を使っていればリサイクルしやすくなり、利用者にとっても環境にとっても優しいです。

国際市場に展開しやすくなる

鉛レス素材を利用することで輸出が容易になるというメリットもあります。

鉛についての規制があるのは日本だけでなく、世界でも鉛の使用を控える動きがあり、厳しい規制が敷かれています。

代表的なものにEUの「RoHS指令」があります。

これは電気・電子機器における特定有害物質の使用制限に関する指令で、この中に鉛も含まれています。

最初から鉛レス素材を使用していれば、世界の基準もクリアすることができ、国際市場への進出がしやすくなります。

企業の市場優位性が上がる

鉛レス素材を取り入れると企業の価値を高められます。

なぜなら、人々の健康や環境を守る姿勢を示せるからです。

近年では企業の価値は単に製品やサービスの品質だけでなく、社会的責任への姿勢によっても測られるようになってきました。

鉛レス素材を取り入れたら、その取り組みを積極的に社外に発信し、アピールしましょう。

鉛レス素材を鋳造で使用するデメリット4つ

この章では鋳造で鉛レス素材を使うデメリットをご紹介します。

鉛特有の性質が失われる

鉛レス素材を使うデメリットとして大きいのが鉛の性質が失われてしまうことです。

鉛レス素材は鉛に近い性質を持っているものの、100%同じというわけでありません。

例えば、銅合金鋳造では快削性を高めるために鉛が使われ、その結果、加工にかかる時間を短くすることができますが、鉛レス素材の場合、快削性は鉛に比べて劣ることがあります。

製作コストの増加

鉛レス素材の価格が従来の素材よりも高く、製作コストが増えてしまう可能性があります。

また、使用する素材が変わることで製作過程や他の素材も見直しが必要になり、その結果、コストが上がることもあるでしょう。

そのため、鉛レス素材を導入する際は改めて製作コストを確認しましょう。

品質管理のやり方が変わる

新しい製品の性質が従来のものと異なる場合、品質管理のやり方や、生産後の保存・管理方法が変わります。

このように、鉛レス素材を導入する際は様々な確認事項や変更があるため、業務が一時的に増えます。

手間に感じるかもしれませんが、ここを疎かにしてしまうと品質の高い製品に仕上がらず、顧客の満足度も下がってしまうので、力を入れて取り組みましょう。

扱っている鋳造業者が限られる

鉛レス素材は全ての鋳造業者が扱っているわけではありません。

そのため、鉛レス素材を使いたい場合は、まずは業者に取扱いがあるかどうかを確かめる必要があります。

また、ただ導入しているだけでなく、鉛レス素材を使った鋳造の実績が豊富か、顧客は満足しているかといった点まで把握できると安心です。

鋳造に使える鉛レス素材2つ

この章では鋳造に使える鉛レス素材の例をご紹介します。

なお、この2つの素材は弊社でも取り扱っております。

CAC901

ビスマス青銅鋳物で、次のような性質があります。

・機械的性質が高い

・耐圧性に優れる

CAC902

こちらもビスマス青銅鋳物の1つです。

機械的性質や耐圧性はCAC901よりも劣ります。

機械的性質については鉛入りの青銅であるCAC406と同等です。

鉛レス素材の使用が求められる製品例3つ

この章では鉛レス素材が求められる分野をご紹介します。

水道部品

蛇口やバルブは人が口にする水が通るところです。

そのため、水道部品に鉛が使われていると人体に悪影響を及ぼす可能性があります。

このような理由から鉛レス素材のニーズがあります。

ちなみに、鉛対策には直接水が触れる面だけNPb処理を行うという方法もあります。

これは表面の鉛を溶解・除去することで、鉛の浸出を低減させるものです。

食品加工機器

食品の加工を行う機械や器具も、水道部品と同じように人の体内に入れるものが接触するという理由で鉛レス素材の使用が望まれます。

電子機器

先ほども触れたEURoHS指令は電気・電子機器における特定有害物質の使用制限についてルールを定めています。

そのため、海外への進出も考えているなら、電子機器に使用する金属についてもよく検討する必要があります。

鉛レス素材に関する今後の展望2つ

この章では鉛レス素材について今後予想されることをご紹介します。

鉛に対する規制が強化される

まず、鉛に関する規制が今後ますます厳しくなることが考えられます。

実はRoHS指令では、次のものは期限付きで規制の適用が除外されています。

・鋼材に含まれる0.35wt%までの鉛

・アルミニウムに含まれる0.4wt%までの鉛

・真鍮に含まれる4wt%までの鉛

将来的にこの除外が解除され、さらに鉛の使用に関するルールが追加されることが考えられます。

新たな鉛レス素材が開発される

先ほどご紹介したCAC901CAC902の鉛レス素材は鉛レス化が進む中で生まれた比較的新しい金属です。

これからも新たな鉛レス素材が開発されることも考えられます。

まとめ

鉛の危険性が知られるようになってから、鉛の規制が厳しくなり、鉛フリーの製品の需要が高まっています。

そんな中、鉛と似たような性質を持つ鉛レス素材が注目されており、鋳造の現場でも使用されています。

鋳造で鉛レス素材を取り入れようか迷っている方はまずは鉛レス素材の取扱いがある業者に問い合わせをしましょう。

 

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